少年サッカーの現場では、ある時期を境にこんな変化が見られることがあります。
- 試合で活躍し始めた
- 得点が増えた
- 周囲から褒められるようになった
そして次第に、
- 指示を聞かなくなる
- 仲間に文句を言う
- 守備やハードワークを怠る
いわゆる 「天狗になり始めた状態」 です。
これは決して珍しいことではありません。むしろ、伸び始めた子に必ず訪れる成長過程の一つ です。
大切なのは、
👉「どう止めるか」ではなく
👉「どう導くか」
この記事では、
- なぜ子どもは天狗になるのか
- 放置するとどうなるのか
- 絶対にやってはいけない対応
- 自信を潰さず謙虚さを育てる具体策
- 指導者と保護者それぞれの正しい関わり
を、育成年代の視点で詳しく解説します。
なぜ少年サッカーで子どもは天狗になりやすいのか?
① 成功体験が急激に増えるから
少年期は成長スピードに個人差があります。ある時期を境に、
- 体が強くなる
- スピードがつく
- 技術が周囲より抜ける
こうした変化が一気に訪れます。
すると、
- ゴールを量産
- 試合で目立つ
- 大人から褒められる
成功体験が短期間で集中し、自己評価が一気に跳ね上がる のです。
② 比較される環境にいるから
少年サッカーでは、
- レギュラー
- 得点王
- エース
といった「比較」が常に存在します。
大人の何気ない「〇〇君はすごいね」という言葉も、優越感を強める要因になります。
③ 自己コントロール能力が未熟だから
子どもは、
- 感情の整理
- 謙虚さ
- 客観視
がまだ十分に育っていません。
つまり、天狗になること自体は異常ではなく、成長途中の自然な反応 なのです。
天狗になり始めた時に見られるサイン
以下のような変化が出始めたら注意が必要です。
- 指導者の話を聞かなくなる
- チームメイトへの不満が増える
- 守備をしなくなる
- 簡単なプレーをサボる
- ミスを他人のせいにする
- ベンチや練習態度が雑になる
重要なのは、能力ではなく「姿勢」に変化が出ているか を見ることです。
天狗状態を放置するとどうなるのか?
① 成長が止まる
サッカーは、
「できているつもり」になった瞬間に成長が止まります。
努力をやめた子は、必ずどこかで追い抜かれます。
② チームの雰囲気が悪くなる
- 文句が増える
- 協力しなくなる
- 空気がピリつく
結果的に、本人もプレーしづらくなる 悪循環に陥ります。
③ 壁にぶつかった時に立ち直れない
天狗状態のまま成長すると、
- 通用しなくなった時
- 負け始めた時
に、自信を一気に失いやすくなります。
絶対にやってはいけないNG対応
① 強く叩く・否定する
- 「調子に乗るな」
- 「勘違いするな」
これは、自信そのものを壊す 危険な対応です。
② 人前で恥をかかせる
- みんなの前で注意
- 皮肉や嫌味
反発心と不信感を生みます。
③ 放置する
- そのうち治る
- 才能があるから大丈夫
放置は、
最も危険な選択 です。
天狗になり始めた時の正しい対応【基本原則】
原則① 自信は肯定する
- 活躍
- 成長
これは事実として認めます。
原則② 修正するのは「姿勢」と「行動」
能力ではなく、
- 態度
- 貢献
- チームへの影響
に焦点を当てます。
原則③ 一対一で、冷静に
感情的にならず、静かな場で伝えることが重要です。
周囲に人がいないか確認してから子供と話をしてあげましょう。
実践編|天狗になり始めた時の具体的な対応方法
① 一対一で話す時間を作る
試合直後や感情的な場面は避け、
- 練習後
- 落ち着いたタイミング
で話します。
② 技術ではなく行動を指摘する
❌「最近下手だ」
⭕「最近、守備の戻りが遅くない?」
具体的な行動に限定します。
③ チームへの影響を伝える
- 「君が走ると、みんな助かる」
- 「君の声で雰囲気が変わる」
リーダー視点 を与えます。
④ あえて難しい役割を与える
- 守備の責任
- キャプテン役
- 声出し係
成功体験の「質」を変えることで、慢心を防ぎます。
⑤ 結果ではなく努力を評価する
- 準備
- 練習態度
- 切り替え
を意識的に褒めます。
保護者ができる正しい関わり方
① 褒め方を変える
❌「天才だね」
⭕「練習してたもんね」
②リスペクトを言葉にする
- 対戦相手
- 審判
- 仲間
への敬意を家庭でも伝えましょう。
天狗状態は「悪」ではない
実は、一度天狗になる子は、伸びる可能性が高い です。
- 自信がある
- 成功体験がある
- 目立てる力がある
これを正しく導ければ、謙虚で心が強い選手 になります。
指導者・親が共通で持つべき視点
- 自信は潰さない
- 態度は見逃さない
- 人としての成長を優先する
少年サッカーは、勝つためだけの場所ではありません。
サッカーを通し人として成長できることの方が重要です。
まとめ|天狗になり始めたら、それは成長のサイン
少年サッカーで天狗になり始めた時の対応で大切なのは、
- 否定しない
- 放置しない
- 行動に焦点を当てる
- 一対一で丁寧に伝える
この関わりが、本当の意味での強い選手 を育てます。
天狗状態は、成長の分岐点 です。
正しく関われば、その子は必ずもう一段階上へ進みます。
それでは最後まで記事を見ていただきありがとうございました。







